ドイツの将来を不安がらせるボランティアベースの政策3つ
ヨーロッパいちの経済国家ドイツ。
しかしながら、最近のドイツ政府が打ち出す政策がかなりしょぼくて、ドイツの将来が危うく感じてしまいます。
食品廃棄物対策
食品廃棄物は、世界で問題視されているひとつです。
全世界での食料廃棄量は年間約13億トンで、人の消費のために生産された食料のなんと約1/3が廃棄されているという現状。
⬇︎詳細はこちら。
日本とドイツでは、
- 日本:年間2.759万トン。そのうち食べられるのに捨てられる食品「食品ロス」は年間643万トン。
- ドイツ:年間1.100万トン。1人あたり55㎏の食品ロス。
各企業でそれぞれ取組がされていますが、日本同様ドイツでも特別な規制は設けていません。フランス首相と会談し、EU全域内での食料廃棄物禁止に向けて共鳴する一方で、ドイツではあくまでも企業の自主性に委ね、『食品廃棄量(現在1.100万トン)を2030年までに半減にする』という目標を設定し、閣議決定するのみ。
お隣フランスを見てみれば、一定以上の規模のスーパーに食品の廃棄等を義務付け、違反の場合は最大3.750ユーロの罰金を課したり、チェコにいたっては賞味期限切れ前の食品の廃棄等を禁止し、違反の場合はなんと391.000ユーロの罰金が課されます。
いったいどうして目標を設定して閣議決定をするのに、企業への義務付けは行わないのか。どうやって目標達成するのか… まずは目標ありきなのか…謎ばかりです。
脱プラスティック対策
全世界でプラスチックの廃棄が問題となっています。
プラスチックが海に流れついて海洋ごみとなり、2050年には魚よりもプラスチックごみの方が多くなるだろうと予測されています。
EUの環境政策では、2025年までに一人当たりの年間ビニール袋使用枚数を40枚にするという政策を掲げています。そんな中、ドイツでは『2018年までにビニール袋の80%を有料化する』法律を2016年に施行。
昔からドイツで買い物をするとビニール袋は有料でしたが、この法律が功を奏で、2015年に68枚だった一人当たり年間ビニール袋使用枚数が、2016年には45枚、2017年には29枚になりました。
最近有料化を導入しているスーパーも増えてきたとはいうものの、日本の一人当たりの年間レジ袋使用枚数が300枚にも上るということを考えれば、有料化することで消費者の環境対策への意識が高くなり、使用枚数が激減したことはかなり効果があったのだと思います。
でもこの法律・対策ってあくまでも消費者へ負担を課しているだけのもの。
企業に対してはどうか?といえば、企業への脱プラスチック対策に対する義務付けはなく、あくまでもボランティアベースなのです。これっていかがなものなのか?
脱肥満対策
ジャンクフードの普及で世界的に肥満人口が増加し、世界の3人に1人が過体重、10人に1人が肥満だと言われています。
ドイツは欧州最大の肥満大国。
国民の4人に1人が肥満体質、10人に1人が糖尿病患者だと言われています。子供にいたっても7人に1人は肥満だとされています。
政府もこの肥満が増えているという状況を危惧し、飲料やスナック菓子などの商品に含まれるお砂糖の量、パンの塩分、冷凍ピザの塩分・脂質を少なくするようメーカーに訴えています。
しかしながら、ここでも各企業への規制はゼロ。あくまでも企業の自主性に委ね、ボランティアベース。「健康なパンが存在しても、売れなければ意味がない。」のだそうです。どういうこっちゃ!?
3人に1人の子供が肥満体質だと言われる海の向こうのイギリスでは、100mlに対して5gm以上の糖質を含むソフトドリンクに砂糖税を課す法律の施行やコマーシャルの禁止などの対策をとっています。まぁしかしながら、課税を避けるためにコカ・コーラは糖質を減らす一方で、価格を上げて、結局消費者から税金分を賄っているそうですが…
まとめ
現政権(いや昔から?)は、最終的には消費者に負担を課して、企業を優遇する事、企業にしか目が行っていないということなのでしょうか。
各企業の動向を見てみると、
食品廃棄量問題に対しては
例えば、大手ディスカウントスーパーのAldiで土曜日の夕方、野菜や果物が30%オフで売られています。これは恐らく、昔はこういう事をしていなかっただろう事を考えれば、食品ロスをなくす為の取組なのかな、と。
脱プラスティック対策に対しても
野菜や果物を入れるビニール袋の設置を廃止し、その代わり紙袋を設置したり、何度も使用できるネットの袋を有料で提供したりと企業努力は見えます。
そして肥満対策でも
プライベート商品の塩分や糖分を減らす方針を打ち出すリテーラーは存在し、消費者が味の変化に気づかないように、段階的に糖分・塩分・脂質を減らしていくという努力をしている企業もあります。
毎週金曜日に学校を休んで環境(環境に良い食品も含まれる)に対するデモを繰り広げるドイツの子供たち。自分達の将来を危惧して、この様なデモが子供達の間で浸透すると同時に、消費者の環境意識・健康意識が益々高まっていき、企業に対する視線もますます厳しくなり、企業は何かしら対策を取るだろうという希望のもとに、政府は規制を設ける必要はないということなのでしょうか?
既に求心力が衰えていると言われているメルケル首相は、2021年に退陣すると発表しています。あくまでも企業に対してはボランティアベースの政策ばかりを打ち出して批判ばかりを受けていますが、「注目の次期首相候補は誰?」と尋ねると誰もが「誰もいないなぁ…」と答えてしまう昨今のドイツ。そんなドイツの将来が少し不安です。
今日もストレスレスな1日になります様に☆
こんな記事も書いています⬇︎。